快晴武頼庵

快晴武頼庵

競馬を血統から考えるブログ。フロックでも何でもない。

POGオタクによる競馬初心者のための生産牧場徹底解説

平素よりお世話になっております。竹龍(@26kago)です。

 

インターネット個人ラジオマンになったり(小休止中)、転勤があったり、色々していたらいつの間にか一度もブログを更新しないまま5月になっていました。光陰矢の如し。

 

5月と言えば東京優駿東京優駿と言えばPOGドラフト会議です。今年はウマ娘効果もあり、POGに初めて参加する方も多いかと思います。というか競馬初心者オタクはみんなPOGをやってください。絶対ハマるから。怖くないよ。

 

POG販促動画はこちら☟

youtu.be

 

POG自体の概要は上記動画、ないしは他のPOG解説記事・動画を見ればある程度理解できるかと思います。問題は指名馬の選び方。初めてPOGに触れる方は何を取っ掛かりに探せばいいのかも分からないかもしれませんね。動画内でも言及していますが、自力で調べる場合は、『血統・厩舎・馬主・生産牧場』から選定するのが定石です。

 

私自身普段から配合の話しかしない血統のオタクなので、POG初心者のための血統解説記事を…と思ったのですが、初心者にも分かるように書こうとするとアホほど長くなってしまうのと、身内POG参加者に手の内を明かすことになってしまうので諦めました。

 

それでもPOG初心者に有益な情報をお届けしたい。でも敵に塩を送るような真似はしたくない…

 

そんな葛藤の末、今回の記事でご紹介するのはタイトル通り生産牧場についてです。生産牧場の情報は、ある程度POGをやる人にとっては常識とは思いますが、競馬に手を出したばかりでは覚えきれないことも多いかと。そのうえ指名馬選定でそれなりに重要になる情報ということで今回のテーマとしては一番しっくりきました。

 

※あくまでイチ素人の意見です。

 

そもそも生産牧場とは?

競走馬の一生のスタート地点である「繁殖」を中心に行う牧場。

繁殖牝馬の飼育管理・種付け・育成に引き継ぐまでの仔馬の馴致等を行う。

生産牧場が違うと何が違う?

繁殖牝馬が違う

一番の違いはここ。当然のことながら「全く同じ繁殖牝馬が他の牧場にもいる」ということはあり得ない。繁殖牝馬の質(仔の競走成績が優れているか否か)は生産牧場の成績に直結する。血統配合について語る上でも、繁殖牝馬種牡馬以上に重要視するべき点である。近年は血統の飽和を緩和させるために海外から繁殖牝馬を輸入するケースが増えている。これは成績に如実に反映されており、年間芝GⅠ勝利数を母輸入繁殖と母内国産で比較すると、'19年・'20年と母輸入繁殖が母内国産を上回る結果となった。大牧場から指名馬を選ぶ場合は、輸入繁殖から狙うのが新たなトレンドとなってくるだろう(というかもうなっている)。逆に中小牧場から指名馬を選ぶ場合は、その牧場の基盤となっているお抱えの牝系(竈馬と呼ばれる)を持つ馬を狙うのが得策。まずはその牧場の過去の活躍馬を探し、その馬の牝系を辿るところから始めると良いだろう。

種牡馬が違う

次に分かりやすい点はここ。生産牧場によって種付けする種牡馬は大きく異なる。これは各種牡馬シンジケートがどのように組まれているのかが大きく関わってくるのだが、本筋から逸れる上、難解かつブラックボックスの部分が多いため割愛。大雑把に説明すると、「生産牧場」と「種牡馬の繫養先」はセットになっているパターンが多い。つまり、有力な種牡馬の繫養先(具体名を出すとすれば社台スタリオンステーション)と関係のある生産牧場を狙うのがPOGの王道である。逆に中小牧場が有力種牡馬をつけている場合は、社運を賭けた渾身の配合と捉えることもできるだろう(必ずしもそれが成功するわけではないが)。

育成環境が違う

これも種牡馬と同様に、「生産牧場」と「育成牧場」はセットになっているパターンが多い(特に大規模牧場)。育成牧場の差は始動・仕上がりの早さや競走能力に繋がる。近年は各育成牧場が設備強化に着手しており、実際に成績を上げているケースが多く見られる(後述)。また、入厩前の育成以外にも「外厩」と呼ばれる民間育成施設の存在も関わってくる。某三冠牝馬が活躍した当時、「天栄帰りの馬を狙え」なんていうのが流行ったが、ここでいう天栄(ノーザンファーム天栄)が外厩である。これについても、生産牧場からおおよそどの外厩を利用することになるのかが分かるようになっている。中小牧場生産馬については、馬主で育成牧場・外厩が決まるパターンも多いので注意。

参考資料

生産牧場の実情を測る指標として、直近5年の「生産者リーディング(獲得賞金ランキング)」と「春クラシック(桜花賞皐月賞優駿牝馬東京優駿)対馬の生産牧場」を表にまとめた。

生産者リーディング(2016~2020)

  2020 2019 2018 2017 2016
1 ノーザンファーム ノーザンファーム ノーザンファーム ノーザンファーム ノーザンファーム
2 社台ファーム 社台ファーム 社台ファーム 社台ファーム 社台ファーム
3 社台コーポレーション白老ファーム 社台コーポレーション白老ファーム 社台コーポレーション白老ファーム 社台コーポレーション白老ファーム 社台コーポレーション白老ファーム
4 ノースヒルズ ダーレー・ジャパン・ファーム ダーレー・ジャパン・ファーム ダーレー・ジャパン・ファーム 岡田スタッド
5 ダーレー・ジャパン・ファーム 下河辺牧場 下河辺牧場 ヤナガワ牧場 グランド牧場
6 下河辺牧場 三嶋牧場 岡田スタッド 岡田スタッド ダーレー・ジャパン・ファーム
7 グランド牧場 グランド牧場 グランド牧場 グランド牧場 下河辺牧場
8 三嶋牧場 ビッグレッドファーム 追分ファーム 下河辺牧場 ヤナガワ牧場
9 岡田スタッド 岡田スタッド ビッグレッドファーム 追分ファーム ビッグレッドファーム
10 ビッグレッドファーム ノースヒルズ 三嶋牧場 ビッグレッドファーム 千代田牧場
11 追分ファーム 追分ファーム ノースヒルズ フジワラファーム ノースヒルズ
12 コスモヴューファーム ケイアイファーム 千代田牧場 千代田牧場 フジワラファーム
13 ケイアイファーム 千代田牧場 辻牧場 ノースヒルズ 辻牧場
14 千代田牧場 フジワラファーム ヤナガワ牧場 辻牧場 追分ファーム
15 レイクヴィラファーム コスモヴューファーム ケイアイファーム コスモヴューファーム 三嶋牧場
16 新冠タガノファーム ヤナガワ牧場 レイクヴィラファーム 三嶋牧場 新冠タガノファーム
17 フジワラファーム 坂東牧場 コスモヴューファーム 新冠タガノファーム 服部牧場
18 ヤナガワ牧場 レイクヴィラファーム 坂東牧場 岡田牧場 岡田牧場
19 坂東牧場 辻牧場 フジワラファーム ケイアイファーム 坂東牧場
20 辻牧場 新冠タガノファーム 新冠タガノファーム レイクヴィラファーム 高昭牧場

 

春クラシック連対馬生産牧場(2016~2020)

  2020 2019 2018 2017 2016
桜花賞1着 長谷川牧場 ノーザンファーム ノーザンファーム フジワラファーム 社台ファーム
桜花賞2着 ノーザンファーム 天羽牧場 ノーザンファーム ノーザンファーム ノーザンファーム
皐月賞1着 ノースヒルズ ノーザンファーム 田上徹 ノーザンファーム 服部牧場
皐月賞2着 ノーザンファーム ノーザンファーム 斉藤安行 追分ファーム ノーザンファーム
優駿牝馬1着 長谷川牧場 ノーザンファーム ノーザンファーム 社台ファーム ノーザンファーム
優駿牝馬2着 コスモヴューファーム 社台ファーム ノーザンファーム 目黒牧場 ノーザンファーム
東京優駿1着 ノースヒルズ 飛野牧場 ノーザンファーム ノーザンファーム ノーザンファーム
東京優駿2着 ノーザンファーム 三嶋牧場 田上徹 ノーザンファーム ノーザンファーム

 

生産牧場紹介

前置きはこのくらいにして、ここからは最低限知っておきたい生産牧場25選を各カテゴリ毎に紹介する。

①社台グループ

近代日本競馬の歴史を作ってきた国内最強の馬産集団。'58年、吉田善哉が北海道白老町に開場した千葉社台牧場社台支場に始まり、社台ファーム早来・社台ファーム千歳を続々開設。'94年、その息子に代表を引き継ぐ形で改名・三分割。現在は以下4つの牧場がこのグループに属する。

ノーザンファーム

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2020年生産者リーディング:1位

主な生産馬:アーモンドアイ、ディープインパクトブエナビスタ

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーションブリーダーズスタリオンステーション

主な育成施設:ノーザンファームYearling、ノーザンファーム早来、ノーザンファーム空港、ノーザンファーム天栄(福島)、ノーザンファームしがらき(滋賀)

 

社台ファーム早来を前身とする。代表は吉田善哉の次男である吉田勝已。生産馬の多くはサンデーレーシングキャロットファームシルクレーシング・社台グループオーナーズ(吉田勝已名義)といった一口・共有馬主クラブで募集されるほか、国内最大規模の幼駒セールであるセレクトセールにおいて高値で取引される。

'11年以降10年連続生産者リーディング1位。更に言えば'17年以降は2位にダブルスコアをつけての圧勝。国内最強である社台グループの中でも更に頭一つ、二つ、三つ抜けた存在と言っても過言ではない。繁殖牝馬輸入にも積極的で、特に米・愛・英国産が多い印象。

近5年の春クラシック連対馬22/40がノーザンファーム生産馬である点からも、その圧倒的な成績が分かる。POG指名馬選定に於いては「ノーザンファーム生産馬かそれ以外か」が判断基準になるレベル。迷ったらノーザンでおk。

社台ファーム

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2020年生産者リーディング:2位

主な生産馬:ダイワメジャーダイワスカーレットエイシンフラッシュ

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーションブリーダーズスタリオンステーション

主な育成施設:山元トレーニングセンター(宮城)、グリーンウッドトレーニング(滋賀)

 

社台ファーム千歳を前身とする。代表は吉田善哉の長男である吉田照哉。生産馬の多くは社台レースホース・グリーンファーム・社台グループオーナーズ(吉田照哉名義)といった一口・共有馬主クラブで募集されるほか、セレクトセールなどで取引される。

生産者リーディングに於いては、'10年まで毎年ノーザンファームとの首位争いを繰り広げていたが、'11年以降は不動の2位という地位を確立している。ただし3位以下にはダブルスコア・トリプルスコアをつけての2位である。ノーザンファームの異常さがより際立つな。輸入繁殖は仏国産が比較的多い印象。

'17年優駿牝馬を制したソウルスターリングを最後に春クラシック制覇はないが、'18年末の坂路改修工事以降、成績は上昇傾向にある。

追分ファーム

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2020年生産者リーディング:11位

主な生産馬:フェノーメノペルシアンナイト、サングレーザー

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーションブリーダーズスタリオンステーション

主な育成施設:追分ファームリリーバレー

 

'96年開場と、社台グループの中では最も歴史が浅い。代表は吉田善哉の三男である吉田晴哉。生産馬の多くはG1レーシング・社台グループオーナーズ(吉田晴哉名義)といった一口・共有馬主クラブで募集されるほか、セレクトセールなどで取引される。

歴史の浅さと生産頭数の少なさから、社台グループの他牧場には大きく差を付けられているのが現状。春クラシック制覇は'08年桜花賞(レジネッタ)まで遡る。配合面で「これは」という馬は多いが、実際に走らせると育成の差が出てくる…というのが個人的感想。

社台コーポレーション白老ファーム

2020年生産者リーディング:3位

主な生産馬:オルフェーヴルドリームジャーニーイスラボニータ

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーションブリーダーズスタリオンステーション

 

社台ファーム白老(旧千葉社台牧場社台支場)を前身とする。吉田照哉・吉田勝已・吉田晴哉3兄弟による共同経営。生産馬の多くは前述の一口・共有馬主クラブで募集されるほか、セレクトセールなどで取引される。

生産者リーディングでは’08年以降不動の3位の地位を確立している。'14年皐月賞を制したイスラボニータ以来春クラシックとは縁が無いが、'17年ホープフルS(タイムフライヤー)や、'20年NHKマイルC(ラウダシオン)など、POG期間内の活躍馬は定期的に現れている。

②日高の大牧場

社台グループには敵わずとも、毎年リーディング上位に位置する日高振興局の大牧場を5つ紹介する。

ノースヒルズ

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2020年生産者リーディング:4位

主な生産馬:コントレイル、トランセンドアーネストリー

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーションアロースタッド

主な育成施設:ノースヒルズ清畠、大山ヒルズ(鳥取)

 

'84年、前田幸治が北海道新冠町に開場したマエコウファームを前身とする。生産馬のほとんどを自名義(ノースヒルズ前田幸治前田晋二・前田葉子・前田幸貴)で所有するオーナーブリーダー。暇な方は勝負服間違い探しをすると楽しいかもしれないし、楽しくないかもしれない。

'20年無敗の三冠馬コントレイルなど日本ダービー勝馬を3頭輩出している。以前はアベレージに乏しい一発長打の印象が強かったが、'17年秋に中期育成施設の清畠分場が開設されると、その最初の世代からコントレイル・ビアンフェ・コルテジア・アブレイズ・キメラヴェリテと5頭の重賞馬を輩出。米国からの繁殖輸入にも積極的で、今後も注目必至。牝馬の活躍は少なく、POGで指名するなら牡馬。

ダーレー・ジャパン・ファーム

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2020年生産者リーディング:5位

主な生産馬:ファインニードル、ディサイファ、タワーオブロンドン

主な利用種牡馬繫養先:ダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックス

主な育成施設:ダーレー・キャッスルパーク

 

UAE首長シェイク・モハメドが代表を務める世界的馬産集団「ダーレー・グループ」の日本現地法人。代表はハリー・スウィーニィ。生産牧場・種牡馬繫養施設・育成施設を抱えるオーナーブリーダー。廃業予定だった北海道日高町の中小牧場を買収することで規模を拡大した。'18年3月以降、JRAにおける名義を「シェイク・モハメド」から「ゴドルフィン」に変更し、それに伴い勝負服もお馴染みのロイヤルブルーを意識したものに変更された。

ダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスにはサンデーサイレンス種牡馬がいないこともあり、生産馬は短距離・ダート路線での活躍が目立つ。'18年末の育成施設坂路導入により、2歳戦の成績が跳ね上がった。

生産牧場の話からは逸れるが、ゴドルフィンへの名義変更後、海外セール(特に英タタソールズ)落札馬の活躍が目立つ(ダーリントンホール、ショックアクション等)。ゴドルフィンから指名する際は「Pacapaca Farm」名義での落札馬も要チェック。

下河辺牧場

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2020年生産者リーディング:6位

主な生産馬:キセキ、ダノンシャークスティルインラブ

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーション

主な育成施設:吉澤ステーブル(北海道、茨城、滋賀)

 

'66年、下河辺孫一が北海道沙流郡門別町に開場。現在はその長男の下河辺俊行が代表を務める。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。

リーディングでも常に安定した成績を残す日高の名門牧場だが、春クラシック制覇は'13桜花賞(アユサン)まで遡る。牡馬は晩成気味(キセキ・ダノンシャーク)、牝馬は早熟気味(ショウナンアデラアユサンスティルインラブ)の傾向にあるので、POGで指名するなら牝馬

グランド牧場

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2020年生産者リーディング:7位

主な生産馬:プリエミネンススマートボーイ、メイショウダッサイ

主な利用種牡馬繫養先:アロースタッド

主な育成施設:吉澤ステーブル(北海道、茨城、滋賀)

 

'27年、伊藤幸太郎が北海道日高町に開場。三代目代表の伊藤佳幸により規模を拡大。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。

活躍馬はダート中心のためPOG指名には不向きだが、地方競馬獲得賞金も加算するルールであれば道営・南関デビュー予定馬を指名するのも面白いかもしれない(ヒガシウィルウィン・ラブミーチャン)。

伊藤圭三(美浦)は代表の弟であり、このラインからプリエミネンススマートボーイスズカコーズウェイと重賞馬を複数輩出。近年ではハヤブサマカオーが兵庫ジュニアグランプリを制している。

三嶋牧場

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2020年生産者リーディング:8位

主な生産馬:ダノンキングリー、メイショウベルーガ、メイショウカンパク

主な利用種牡馬繫養先:社台スタリオンステーション

主な育成施設:吉澤ステーブル(北海道、茨城、滋賀)

 

戦前から北海道浦河町にて生産を行う。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。「メイショウ」の冠名で知られる松本好雄オーナーとの繋がりが深く、毎年10頭前後取引される。

'17年にダーレー・ジャパン前代表の三嶋健一郎が取締役に就任すると、'18年以降カンタービレ・ダノンキングリー・メイショウテンゲン・ミッキーチャーム・バスラットレオンと重賞馬を連発。GⅠ初制覇も時間の問題か。

③岡田一族

社台グループの吉田一族と双璧をなす馬産一家が岡田一族。岡田蔚男が開場した岡田蔚男牧場(現岡田スタッド)に始まり、その長男である岡田繫幸、次男である岡田牧雄がそれぞれの牧場を拡大。現在は以下3つの牧場がこのグループに属すると言える。グループ全体の特徴として、レース数を多く使える「頑丈な馬作り」を意識しているため、その理念が合えば積極的に指名するのも良いだろう。

ビッグレッドファーム

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2020年生産者リーディング:10位

主な生産馬:マイネルキッツドリームバレンチノマイネルブライアン

主な利用種牡馬繫養先:ビッグレッドファーム

主な育成施設:ビッグレッドファーム明和、真歌トレーニングパーク、鉾田トレーニングセンター(茨城)

 

'74年、北海道静内町に開場。代表は「総帥」こと岡田繫幸の妻である岡田美佐子。生産馬の多くはサラブレッドクラブラフィアンやコスモオーナーズ(ビッグレッドファーム名義)といった一口・共有馬主クラブで募集される。また、総帥存命時は岡田繫幸名義でも競走馬を所有していた(現在は名義を「ビッグレッドファーム」に統一)。

決して主流とは言えない種牡馬を重用しながら、ほぼ毎年クラシック路線に伏兵を滑り込ませるのは相馬眼の為せる業。総帥自身の代では、日本ダービー英ダービー(?)制覇の夢は終ぞ叶わなかったが、その遺志は次世代に引き継がれることだろう。走るとは言ってない。

岡田スタッド

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2020年生産者リーディング:9位

主な生産馬:スマートファルコンサウンドトゥルーマツリダゴッホ

主な利用種牡馬繫養先:レックススタッド

主な育成施設:オカダスタッド、ノルマンディーファーム、ノルマンディーファーム小野町(福島)

 

'72年、北海道静内町に開場した岡田蔚男牧場を前身とする。'84年に岡田牧雄に代表を引き継ぎ、岡田スタッドに改称。生産馬の多くはノルマンディーサラブレッドレーシング、レックスPro(岡田牧雄名義)といった一口・共有馬主クラブで募集される。自名義(こちらも岡田牧雄名義)でも多くの馬を所有するオーナーブリーダー

クラシックとはほぼ無縁だったが、'20年に(生産馬ではないが)育成馬のデアリングタクトが無敗で牝馬三冠を達成すると、翌'21年にはマツリダゴッホサウンドトゥルー以来の「坂の上ホース(?)」であるタイトルホルダーが弥生賞制覇、皐月賞2着と大健闘。今後もノルマンディーファームの坂路に注目が集まる。 

コスモヴューファーム

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2020年生産者リーディング:12位

主な生産馬:ウインブライト、ウインマリリン、ウインムート

主な利用種牡馬繫養先:ビッグレッドファーム

 

'96年、岡田繁幸が北海道新冠町に開場。'11年に「ゼンノ」の冠名で知られる大迫正善からウインレーシングクラブの経営を引き継ぐ。生産馬の多くはウイン、プレジャーオーナーズ(コスモヴューファーム名義)といった一口・共有馬主クラブで募集される。

後進ながら近年は本家ビッグレッドファームに迫る勢いで活躍馬を輩出。'19年香港国際競争春秋連覇のウインブライトや'20年オークス(2着ウインマリリン3着ウインマイティー)は記憶に新しい。

④中堅牧場

近年の実績では上記牧場に見劣るが、毎年リーディング20位までにはつけてくる中堅牧場を7つ紹介する。

ケイアイファーム

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2020年生産者リーディング:13位

主な生産馬:ロードカナロア、ダノンスマッシュ、ダノンプレミアム

主な育成施設:三石ケイアイファーム、千葉ケイアイファーム(千葉)

 

'87年、北海道三石町に開場。生産馬の多くはロードホースクラブで募集される。また、「ダノン」の冠名で知られるダノックスとの繋がりが深く、期待馬はクラブで募集されずダノックスに流しているという噂も…。

活躍馬は比較的晩成気味で短距離寄り、近年ではダート転向で結果を出している傾向にあるので、POG指名には不向き。敢えて狙うならワンフォーローズ牝系の牝馬かダノックス所有の王道血統。

千代田牧場

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2020年生産者リーディング:14位

主な生産馬:ニッポーテイオーホエールキャプチャダノンプラチナ

 

'66年、飯田武が北海道静内に開場。生産馬の多くを自名義で所有するオーナーブリーダー

'00年代はトップ5常連だったが、'14年朝日杯FS(ダノンプラチナ)以降GⅠ制覇はなく、リーディング順位も低迷しており、POG指名には不向き。敢えて狙うならチヨダマサコ牝系。

レイクヴィラファーム

2020年生産者リーディング:15位

主な生産馬:グローリーヴェイズ、トリオンフ、マイネルサージュ

 

'11年、岩崎伸道が旧メジロ牧場の設備を引き継ぐ形で開場。オーナーブリーダーとして活躍したメジロ牧場とは異なり、生産のみを行っている。

メジロ牝系自体晩成傾向が強く、スタミナ・底力に特化しているため、POG指名にはやや不向き。ノーザンファームから経営・技術面で支援を受けているためか、生産馬の賞金上位馬にはノーザン系一口馬主クラブ(シルク・キャロット)での募集馬が並ぶ。

新冠タガノファーム

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2020年生産者リーディング:16位

主な生産馬:アスカノロマンタガノエスプレッソタガノトネール

主な育成施設:宇治田原優駿ステーブル

 

'03年、八木良司が北海道新冠町に開場。既存馬主が自前の牧場を開設するパターンは前述のノースヒルズと同じ。生産馬のほとんどを自名義で所有するオーナーブリーダー

活躍馬はダートに偏るため、POG指名には不向き。敢えて狙うならタガノレヴェントンの仔。

フジワラファーム

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2020年生産者リーディング:17位

主な生産馬:ウイングアローレーヌミノル、ワイドファラオ

 

'58年、藤原昭三が北海道静内に開場。生産馬の多くを自名義で所有するオーナーブリーダー

'17年にレーヌミノル桜花賞を制し、その後も'18年サトノフェイバー、'19年ランスオブプラーナ・ワイドファラオ、'20年エーポスと4年連続でPOG期間内重賞制覇。マイル路線であれば穴で一考の余地がある…かもしれない。

ヤナガワ牧場

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2020年生産者リーディング:18位

主な生産馬:キタサンブラックコパノリッキーサンライズバッカス

 

'67年、北海道門別町に開場。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。

'00年代前半までは然程目立つ牧場ではなかったが、「Dr.コパ」こと小林祥晃オーナーとの取引が始まった'00年代後半から急上昇。サンライズバッカスコパノリッキーキタサンブラックサンライズノヴァと立て続けにGⅠ(JpnⅠ)馬を輩出した。これが風水パワー…。実際風水に関するアドバイスはしていたらしい。

キタサンブラックを除く活躍馬はダートに偏るので、POG指名には不向き。スピリチュアルを信じる方にはオススメ。

坂東牧場

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2020年生産者リーディング:19位

主な生産馬:オジュウチョウサンビービーガルダンアクシオン

 

'50年、北海道平取町に開場。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。某人気アニメの主人公の衣装と自名義の勝負服が似ていることで話題になったりならなかったりした。

オジュウチョウサンの障害無双でリーディング順位を大きく伸ばした。数は多くないがノーザン系一口馬主クラブ(キャロット・シルク)や社台グループオーナーズ(地方)で毎年募集されており、それに伴いノーザンファームから繁殖牝馬を受け入れている。

POG期間内の中央重賞制覇は現在に至るまでなく、POG指名には不向き。

⑤マイナー牧場

大手POGメディアで紹介されるのはほとんどの場合④まで。かといって「それ以外の牧場はPOG的に用無し」という訳ではなく、ほぼ毎年マイナー牧場からも春クラシック連対馬が出ている点は見逃せない。

以下は21-22シーズンの個人的オススメ配合馬を有する牧場に絞って6つ紹介する。マイオナ厨必見。

村田牧場

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2020年生産者リーディング:24位

主な生産馬:ローレルゲレイロ、ディープボンド、ケイアイドウソジン

主な利用種牡馬繫養先:優駿スタリオンステーション

 

生産馬の一部はローレルレーシング、ターフ・スポートなどの一口馬主クラブで募集される。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合はかなり低め。

直近では大阪杯2着モズベッロ、天皇賞春2着ディープボンド、かしわ記念2着ソリストサンダーで注目を集める。

オススメ馬はスルターナの19(牡・父キタサンブラック)。牧場お抱えのモガミヒメ牝系で、母は中央4勝。サクラハゴロモ=アンバーシャダイ4×4の全兄妹クロスを筆頭に、Lyphard5×5×4・Halo4×4も併せ持ち、父の主要血統をまとめて累進する意欲的な配合。父長距離×母父短距離の形も収まりが良い。「キタサン」冠名の大野商事が購入(ソース不明)とのことで、それも含めて期待したい一頭。最大目標は皐月賞

谷川牧場

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2020年生産者リーディング:33位

主な生産馬:インカンテーションサクセスブロッケンチョウカイキャロル

主な利用種牡馬繫養先:イーストスタッド

 

生産馬の一部はターフ・スポートなどの一口馬主クラブで募集される。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。

ファンディーナやニシノデイジーなど、近年のクラシック戦線にも時折顔を覗かせるためノーマークは禁物。

オススメ馬はルパンⅡの19(牝・父ダイワメジャー)。ターフ・スポート募集馬。二代母Promising Leadは愛GⅠプリティポリーS(芝10F)を制し、Dansiliなど5頭のGⅠ馬と同血の関係にある超良血馬。ダイワメジャー×Sadler's Wells×Danzigメジャーエンブレムと共通する黄金配合。Sir IvorBlushing GroomHyperion+Donatelloといった父と相性の良い血統をこれでもかと詰め込んだ良質マイラー。最大目標は桜花賞

酒井牧場

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2020年生産者リーディング:36位

主な生産馬:ホクトベガマックスビューティ、ダイアトニック

 

生産馬の一部はターフ・スポートなどの一口馬主クラブで募集される。オーナーブリーダーでもあるが自名義割合は低め。

オススメ馬はティズウインディの19(牝・父ディープインパクト)。セレクションセール牝馬歴代最高価格取引馬(5,800万円)。母は米GⅡインディアナオークス(ダ8.5F)制覇。ディープインパクト×Tiznowは、コントレイル・アルジャンナと共通する黄金配合。A.P.IndyUnbridledも父と好相性。初子の牝馬という点は気になるが、2歳特効の中内田厩舎なので早期デビューさえ叶えば活躍の目は十分。最大目標は阪神JF

木村秀則

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2020年生産者リーディング:39位

主な生産馬:クレッシェンドラヴ、ディメンシオン、パンサラッサ

主な育成施設:シュウジデイファーム

 

生産馬の多くは広尾レースなどの一口馬主クラブで募集される。

オススメ馬はステラリードの19(牡・父ロードカナロア)。広尾レース募集馬。母はGⅢ函館2歳S(芝6F)制覇。父のStorm Catを母のNijinskyGone Westで累進しつつ、Nureyev≒Sadler's Wells5×4で底力を補った好配合。父短距離×母短距離なので全体のバランスが良いとは言い難いが。広尾×矢作厩舎は5頭中3頭がOP馬と好相性である点も見逃せない。最大目標はNHKマイルC

栄進牧場

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2020年生産者リーディング:41位

主な生産馬:エイシンデピュティエイシンモアオバー、エイシンヴァーゴウ

主な育成施設:久世育成センター

 

生産馬の多くを自名義(栄進堂・平井克彦)で所有するオーナーブリーダー。活躍馬をプライベート種牡馬にすることで、毎年父母エイシン配合を大量に生産している。これぞ浪漫ですよ。

オススメ馬はエイシンポラリスの19(牡・父エイシンヒカリ)。詳細は過去記事参照。

bamboodragon.hatenablog.com

矢野牧場

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2020年生産者リーディング:41位

主な生産馬:ショウナンマイティアローキャリー、ゴーフォザサミット

 

生産馬の多くはヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンなどの一口馬主クラブで募集される。

オススメ馬はシスタリーラヴの19(牝・父ハーツクライ)。ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン募集馬。母は加GⅢダブルドッグデアS(AW8.5F)・加GⅢオンタリオメイトロンS(AW8.5F)を制覇したソヴリン賞最優秀古牝馬。すみれSを勝ったディープモンスターの半妹にあたる。ハーツクライ×Chief's Crownはヌーヴォレコルト・ヴェロックスと共通する黄金配合で、配合の格は兄姉より上。最大目標は優駿牝馬

まとめ

長々書き連ねてきましたが、結局言いたいことは一つです。

POG指名馬選びで迷ったらノーザンファーム生産馬にしとけ。以上。

何だったんだこの記事は。